ロータリー・バルブにより管長を変化させる。ドイツ、オーストリア、オランダ、北欧などでよく用いられる。ドイツやオーストリアの音楽に向いているとされ、日本やアメリカのオーケストラでも演奏曲目によって用いられることがある。一般にピストン・トランペットと比べ、重厚で厚みのある音色を持つ。強弱に伴う音色変化がピストン・トランペットより大きく、弱奏時は柔らかい音色で木管楽器や弦楽器によく溶け込む一方、強奏時は荒々しい割れた音を出す。
スライド・トランペット [編集]
ソプラノ・トロンボーンと形状が似ているが異なる。機構はトロンボーンと同一で音域が一般のトランペットと同じ。多くは用いられないが、ポルタメントやグリッサンドを効果的に使いたい場合に用いられる。比較的構造が簡単で安くできるのでドイツなどで作られている。ジャーマン・ブラスではこの型で更に「ピッコロ」や更に鉛筆ぐらいの「ピッコリッシモ」も作らせ、余興に演奏し好評を博している。
シグナル・インストルメント [編集]
機能はビューグルに近いが、ベル(朝顔)は2個から4個付いていて、それを1つから2つのピストン・バルブで操作する。マウスピースはトランペットのものを使うのでここに挙げる。ドイツの楽器店でよく見かけられるが、使用例はスライド・トランペットのようにほとんど聞かれない。
歴史的なトランペット [編集]
現在でも製造販売されている。
ナチュラル・トランペット
バルブの機構が発明され実用化される前には、管の長さを変える機構を持たず、倍音のみで演奏されていた。このトランペットをナチュラル・トランペットと呼ぶ。倍音の音と音との間隔が狭くなる高次倍音を使うため、バロック時代には現在のソプラノ・トランペットの倍の管長(長さだけをいえば、バス・トランペットやテナー・トロンボーンと同じ長さである)のナチュラル・トランペットを用い、さらに現在のトランペットの常用音域より高いニ調(D管)を常用していた。音色はテナー・トロンボーンの最高音域を想像すれば、当たらずとも遠からずである。ナチュラル・トランペットのために書かれた楽譜を現在のソプラノ・トランペットで吹くと、高音域では輪郭が際だちすぎたキツイ音色となり、中低音域ではまとまりのない拡散気味の音色になってしまう(メンデルスゾーンの『結婚行進曲』冒頭のファンファーレなど)。 バロック時代のナチュラルトランペットは、管にたくさんの穴が開いていて、リコーダーのようにその穴をふさいで倍音以外の音を出していた。ベートーヴェンの交響曲第5番の第4楽章等を演奏する時に使用されていた。
ロマン派の時代のトランペット [編集]
ロマン派の時代には、ヘ調(F管)でバルブを持つ長管のトランペットが多用された。現代のソプラノ・トランペットより長く、ヘ調(F管)のアルト・トランペットと同じ長さであるが、常用音域はその1オクターブ上の領域であった。
トランペットの原点 [編集]
原初(中世まで) [編集]
トランペットの発達はトランペットだけに留まったものではなく、他の金管楽器と関連して発達してきた。金管楽器の祖先は新石器時代のメガフォン型ラッパにさかのぼり、エジプト王朝時代には金属製の軍用ラッパがすでにあった。この時期までの楽器はホルンともトランペットとも分類できず、むしろ単にラッパの祖先と説明した方が適切である。ただ、旧約聖書時代イスラエルにあったとされるヒャショゼラー(hasocera)やヨーベル(jubel)という20cmぐらいの長さの直管ラッパと、後のアッシリア時代に描かれている直管のラッパなどは、比較的トランペットの始祖としての性格が強い。
ホルン(角笛)から分かれてはっきりトランペットの祖先といえる楽器は、ギリシア・ローマ時代になって初めて出現する。ギリシアではサルピンクス(salpinx)、ローマではトゥーバ(tuba)あるいはリトゥス(lituus)と呼ばれた。この楽器は管長がすでに1mを超え、管は角と金属を継ぎ合せて作られ、マウスピースはカップ型であった。さらに青銅器時代に北欧にはルーレル(lurer)と呼ばれる2本1組として使われるラッパもあった。この楽器の管は円錐形で、むしろコルネットの祖先に見えるのであるが、管がS字型に曲がっていることが形の上でトランペットあるいはトロンボーンの先駆とも言える。
バロック・古典期 [編集]
中世に入るとトゥーバ、リトゥスはビザンチンを通ってアラビアの影響を受け、管長が徐々に長くなり、管型が円筒に近づいていった。中世初期のこの円筒形のトランペットは、クラーロ(claro)あるいはブイジーヌ(buisine)と呼ばれていた。
1240年には、イタリアのフェデリーコ2世がトゥベクタ(tubecta)という楽器を作らせた記録があり、この言葉がトロンベッタ(trombetta)あるいはその後ダンテの詩に初めて現れるトランペット(trumpet)という語の起こりである。トゥベクタも実はローマ時代のトゥーバという語の縮小形である。この楽器がどのような形であったか不明であるが、現在のトランペットにかなり近づいたS字形の管を持つ楽器は、1400年に最古の資料がある。30年後には現代と同じ巻管のものが現れる。この頃の楽器は、現在のものよりベルが小さく、管の肉が厚く、マウスピースも重いことから、他の木管楽器や弦楽器と音色や音量の点で同等に演奏できたことを示している。当時巻管のものはクラリオン(clarion)、直管のものはトロンバ(tromba)と呼ばれていた。
1511年の木版画には、フェルト・トランペット(felt-trumpet)とクラレータ(clareta)という2種のトランペットが現れる。前者は屋外用の野戦楽器であり、後者は室内用の楽器であった。このクラレータは当時ギルド(封建制)社会の特権として演奏されていた楽器で、非常に高い倍音を吹くことが特技とされた。この傾向は19世紀まで見られる。
機構の進化 [編集]
管長をまったく変えることのできなかったナチュラル・トランペットに最初の改良が行われたのは15世紀である。これはマウスピースのパイプ部分を長くして管長を多少コントロールする手法であった。これが後にクルーク・システム(継ぎ足し管)に発達し、19世紀にはスライド・トランペットへと進化した。このスライド・システムがトランペットに採用されている実例は、現在ベルリンの博物館に所蔵される1651年作の楽器が最古である。
一方、1760年にホルンに鍵(音孔)を付ける試みが行われたことから、1801年にはアントーン・ヴァイディンガーによってトランペットにも鍵が付けられたが、これは音色や音程への影響が酷く、不成功に終わった。1788年にイギリスでトランペットにヴァルヴを1つ付けて管の調を半音変えることに成功した。これが後のヴァルヴ・システムの先駆である。現在トランペットに使われる3本ピストンのヴァルヴ・システムはブレイクレーの創案によるブーシー・オートマティックと呼ばれるシステムで、この他にも数種考案されたが、いずれも実用化されなかった。現在のヴァルヴ・システムのトランペットにはっきりと応用されるようになったのは1820年頃からで、1850年には完全に普及したものとなった。
ヴァルヴ・システムのトランペットの初期は、E♭とB♭が主流を成していたが、この他にも低音楽器としてテナー・バリトン・バス・コントラバスといった楽器が作られていた。1850年頃にはF管のアルト・トランペットも作られた。しかし、これらの中で現在に残ったのはB♭管とC管のトランペットと、バリトン・トランペットからワーグナーの示唆で改良された、現在でいうバス・トランペットの3種である。
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