戦況が膠着した状態からソ連の反攻が本格化していく頃に、ハルトマンは戦線に出た。制空権の維持も難しく、地上部隊の援護も十分に行えない戦況下で、新人パイロットが一撃離脱戦闘法に「勝って帰還する方法」を見出したことは、彼の戦闘機搭乗員としての素質が非凡であったことを説明してくれる。 自分に適切な戦闘法を会得した結果、ハルトマンは戦況如何にかかわらず、襲来する敵機は皆撃墜してやる、と構えることができ、戦況が悪くなるにつれ撃墜数が飛躍的に急増するという、常識外れの戦歴を残すことになった(対応するソ連側の戦術の無能さも彼の戦果を後押ししてくれたかも知れない)。同時に機体の能力を最大限に生かす戦闘法を編隊の戦術へと引き上げた実行力と洞察力は、ハルトマンが航空戦闘指揮官としても十分な才能を持っていたことを証明している。
一方、戦闘中に僚機のことなど顧みないドッグ・ファイト型のエース・パイロットの撃墜数は、あくまでエース・パイロット個人の戦績であって、編隊を生かす戦術にはなり得ない。戦後、ハルトマンは「僚機を失った者は戦術的に負けている」ことを教訓として指摘している。また彼は、妻のウルスラへの手紙の中で「自分は歴代最高の撃墜数よりも、一度も僚機を失わなかったことの方を誇りに思っている」と語っている。
しかし、実は一度だけ僚機が撃墜された事がある。本来爆撃機パイロットであった空軍少佐が地上勤務を嫌い、機種転換の後にハルトマンの戦隊に配属された。ハルトマンは時期尚早として、しばらく彼の出撃を制限していたが、年上かつ上官であった彼の催促に根負けし、仕方なく僚機として出撃。しかし、彼はソ連機に撃墜されてしまう。幸い不時着し事無きを得たが、戦後まで生き抜いた彼は、ハルトマンに対し謝意を示しているというエピソードがある。事実、ハルトマンの僚機を務めた者に死者はいない。
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